i-podデビュー と 一人の世界

dessann-

生まれて数十年にして、はじめて携帯音楽プレーヤーなるもので音楽を聴いてみました。衝撃的でした。
 何が? 
 一つは音響の素晴らしさ。まるで自分が異次元の世界にいるようで、電車に乗っているときも、歩いているときも、家事をしているときも、心地よい音楽に身を委ね、その日の憂さを忘れてしまい、夢ごこちの至福のときを味わいました。しかし・・・・。いつのまにかやめてしまいました。
 なぜ?
 怖くなったのです。音楽を聴いている時、その音楽の世界に入り込んでしまうと、自分と外界が全く隔絶されてしまい、目の前を行き過ぎる人々や、店先の商品や、木々の緑の変化や、子供たちの笑顔が、自分とは全く関係のないただの背景として後退してしまい、私だけが今存在しているような、妙な感覚にとらわれてしまったのです。
 町で、乗り物の中で、見回せば多くの方たちがイヤーホーンやヘッドホーンをつけて何かに聞入っています。でも、その人たちは、眼の前にいる私たちには、何の興味もなく、その存在さえも認識していないかもしれない。満員の電車の中で、リュックが触れて迷惑そうにしている後ろのおばさんや、出口に立たれてイライラしている降車中のおじさんなんか、気にもならないかもしれない。みんなが自分一人の世界に浸っている公共の場、なんて、なんだかとっても恐ろしい。
 
 いかにも年寄りくさい雑感を、久しぶりのブログで書いてしまいましたが、
院長は夏期休業中に、京都の某所にこもって、ずっとデッサン修行をしていました。一人の世界に浸るなら、浸るべき場所で、というのが、年寄りの素直な気持ちです。町中で、クリニックの中で、人と人とが交わる場所では、おおいに語り、周りの人間の表情から、行動から、世の中を覗き見、移り変わる自然の色合いに季節と時の流れを自覚する。そんな生活を続けて行きたいものです。
 長い間、ブログをお休みしました。院長も、人間ですから、たまには落ち込んでなかなか立ち直れない事もあります。久しぶりに絵を描いて、気持ちの余裕を取り戻しました。朝霞の方たちのために、耳鼻科の病気で困っていらっしゃる方々のために、気持ちを新たに頑張ります。