埼玉・朝霞の耳鼻科 さない耳鼻科クリニック 中耳炎治療、副鼻腔炎治療

さない耳鼻科クリニック新着情報

2007年9月01日

シッコ(アメリカの医療保険制度って?)

 今日から9月、一瞬寒いと感じるような気候の激変に戸惑っています。
さない耳鼻科クリニックが休診だった今週の木曜日、マイケル・ムーア監督の医療制度を扱った映画をみてきました。I am sick of it(もう沢山だ)とsick (病気)をかけた題名とのことです。 公的医療保険がなく、個人で民間の保険会社と契約するシステムのアメリカの医療制度の問題をついた映画でした。当然、保険に加入できないひとが出てくるし、加入していても契約上の盲点をつかれて、医療費の支給をことわられるケースなどを丁寧に取材しています。その対極として、国立病院での医療費がただになっているイギリスや、社会保障制度の充実しているフランスなどの例が紹介されていました。すべてを鵜呑みにするのは危険かもしれませんが、医療費の削減や、介護事業などをつぎつぎと民間に委託していく政府のやり方をみていると、10年後の日本のことが心配になります。国民皆保険というすばらしい制度を、医療費削減という大前提のもとでつぶしてはならないとつよく思いました。
 今でも、自己負担が30%に引き上げられてから、ごく普通の方達が医院を受診されるのは金銭的に大変になったと思います。今日も、扁桃周囲膿瘍という、放っておいたら死に至ることもある怖い疾患にかかってしまわれた若い男性が受診されましたが、抗生剤の点滴と血液検査、初診料、処方箋代だけで支払いが五千円を越えました。窒息してしまうこともあるので、気管の入り口が狭くなっていないかどうかをファイバーで観察したり、膿を出すための処置をしたりと、たかが耳鼻科ですがいろいろな処置も必要になります。入院になれば何万円もの費用がかかります。
 しっかりとした検査結果(事実)のもとに、理論的に正しい治療が行われるのが医療の根幹ですから、今後ますます検査等の重要性が増してくると思われますが、費用のかかる検査を全部無料でやってしまったら、さない耳鼻科の経営は破綻し、私の理想の医療もできなくなります。一方で「事実に基づく治療」が重要視されている昨今では、勘だけに頼る従来の医療では患者さんの方が納得しなかったり、何か問題が起きた時、ある治療方針をたてた根拠を示すように医療者側に要請がくることも多々あります。しかし、検査ひとつで何千円もかかってしまう現状は憂慮すべきで、少なくともこれ以上改悪することだけは避けなければならないと思います。
 江戸幕府の無料診療所で奮闘する医師を描いた山本周五郎の「赤ひげ」が私の座右の銘で、なんども読み返していますが、なかなか思うようにはいきません。
 まとまりがなくなりましたが、日本はいつも10年遅れてアメリカを追随しています。政府が削減しようとしている医療費の問題からは絶対に目を離さず、反対すべきときは断固反対すべしとの思いを強くしました。

2007年8月29日

家族の話

 母の法事に参加してくれた叔父が、息子に対する思いを書いた私のブログを「母子家庭の印象だね」と言ってくれて、夫のことを書くのを忘れていたことを思い出しました。空気みたいな存在なので、手伝ってくれて当たり前と思っていたのでしょう。ごめんなさい。夜間に、救急で私が病院から呼び出しを受けた時、泣いて私にすがる幼い息子を大きな腕で抱きしめて、お父さんと一緒にいようね、と世話をしてくれたのは他ならぬ夫です。ずーっと生化学の研究をしてきた人で、いわゆる処世術には疎いけれど、少年のような心を持った優しい人です。現在、某T市に単身赴任中。
 夫以外にも私を支えてくれた家族がいます。大阪から千葉に転居して息子の面倒を見てくれた舅や姑(二人とも故人となってしまいましたが)、夫が交通事故にあったとき、私の代わりに付き添って介抱してくれた姉、亡くなる前の母や、一人暮らしになってしまった老父をなにくれとなく気遣ってくれた叔父、叔母、いとこたち。自分のことだけに夢中で時間を過ごしてきたけれど、今、私を支えてくれた人たちのことに、想いを馳せています。ありがとう。彼らは、開業直後、さない耳鼻科クリニックの経営を心配してくれて、自ら患者さんとして受診してもくれました。 
 診療をしていて、患者さんの家庭環境とか、仕事とか、その人のバックグラウンドを考慮しながら、治療方針を決めるようになったのは、私が自分の家族のことも考えられるようになった頃と一致しているような気がします。父親のことを思えば、足腰が弱っているお年寄りに毎日通うよう強要することなんてできないし、私自身のことを考えれば、お年寄りのご家族に必ず付き添うように頼むのも申し訳ない。医者になりたての頃は、病気を治すことがすべてに優先され、まるで正義の味方のように振る舞ったこともありましたが。
 朝霞に来て、ようやく1ヶ月半。相変わらず昼の散歩を続けています。おいしいものもたくさん食べさせていただきました。朝霞の方々の暮らしの様子や、様々な御家族の姿を目に焼き付けて、診療に役立てていきたいと思っています。

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2007年8月29日

外耳炎

 クリニックを訪れてくださる患者さんの訴えで、今一番多いのは、「耳のかゆさ」です。湿疹性外耳道炎と呼ばれるもので、たいていは耳のそうじのやり過ぎですが、一度罹患してしまうとなかなか厄介なしろものです。デリケートな外耳道の皮膚を必要以上にこすることによって、正常な皮膚の代謝回転が阻害されたもので、虫に刺された皮膚を、掻きすぎるとじゅくじゅくしてくるのと同じです。「お肌が生まれ変わるのは4−8週間」というのは化粧品の宣伝ですが、それがそのまま治療にも当てはまります。触らないのが一番の治療ですが、かゆくてたまらないのに、そんなに長い期間耳をさわらないでいるなんてとてもできないので、ますますこじらせてしまうことになります。適当に耳の掃除に耳鼻科に通っていただきながら、場合によってはかゆみ止めの内服や、化膿しているときには抗生剤など使いながら、治療していきます。もし、耳がかゆくなってしまったら、大事になる前に、早めに「耳掃除をしてくれ」と耳鼻科を訪ねてみてください。耳あかだけでも保険診療ができますから。
 下図左は外耳炎の初診時の鼓膜と外耳道の写真、右は治療後1週間の写真です。

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2007年8月24日

朝霞のまち

 厳しい暑さが続いています。お年寄りが熱中症で亡くなったというニュースを耳にするたびに、さない耳鼻科クリニックを訪れてくださった年配の方々を思い出しては、お元気でいらっしゃるかどうか心配になってしまいました。私が我慢できずに、電話をしてしまったお一人暮らしのかたもいらっしゃいますが、お騒がせしてすみませんでした。医院からいきなり電話が来たら、びっくりしてしまいますよね。顔はみたいけれど、医院は具合の悪いときに訪ねるものだし、便りのないのは良い便りと思うべきなのですが、自分の老父への思いと重なってしまいました。
 それはさておき、お盆あけから、昼休みに、駅を起点として20分ぐらいの範囲で朝霞のまちを歩いています。今日は、西友の先の畑の中、造成地などを歩いたあと、洋食屋さんでチキンのランチを食べました。おいしかったです!「最後のお客さんだから、サービスね。」とおっしゃって、マダムがコーヒーの中にアイスクリームを入れてくれました。朝霞のまちには、小さなお店で、家族経営で、とてもほっとするお料理を出してくれるところがたくさんありますね。駅の近くはみちが狭くて、ごちゃごちゃしている印象だったけれど、街の中を歩いているうちに、私が生まれ育った川越と同様に、「人と人との間が近い」感じに変わってきました。昔から、この地で生活されていらっしゃる方が多いのでしょう。川越の我が家と同様、ちょっと古びた木造家屋や、トタンのお家も散見しました。
 まちを歩くことによって、そのまちの空気をもっともっと吸い込むことができますように。
 今日は朝霞に来て初めての医師会の会合があります。緊張していますが、この朝霞のまちの人々の健康を支えていらっしゃる先生方と有意義な時間がもてるよう、私も精一杯話をしてこようと思っています。

2007年8月11日

朝霞の中耳炎

 今、ホームページ内の「耳鼻科について」の中耳炎をどのようにまとめようか頭を悩ましていますが、そちらにアップする前に、ここでもちょっと触れておきたいと思います。
 私が朝霞に来てから、「中耳炎」でさない耳鼻科クリニックを受診されたこどもたちの咽頭や鼻汁を検査したところ、全国的に小児の中耳炎の2大起炎菌といわれている、インフルエンザ菌(タミフルで問題になったウイルスとは全く別物です)と肺炎球菌が、やはり、高頻度で見つかりました。この二つの菌は、抗生剤が効かなくなる薬剤耐性を獲得している場合も多く、耳鼻科としては治療に難渋することが多いのです。(ちなみに、中耳炎の耳漏から検出される菌は、外耳道にいるブドウ球菌なども混じってくるので、かならずしもそのときの中耳炎の原因とはいえないことがわかってきました。)
 私は、耳や鼻はそれ独自の機能があると同時に、外界から体内に入ってくる細菌やウイルスの侵入を防ぐ、ふるい、のようなものだと考えています。たとえば、鼻水がジュルジュル出るのは、ウイルスやアレルゲンで鼻粘膜が刺激されているからなのだけれど、大量の鼻水で、それらは洗い流されます。だから、鼻水が出ているからといって、強力な抗ヒスタミン剤でガンガンに鼻水を止めてしまうと、特に抵抗力が弱い小児の場合は、感染が下気道に及んで気管支炎や肺炎になりやすくなる、とも考えられます。
 同様に、中耳炎で厄介な菌がみつかったからといって、それを徹底的にやっつけるために、より強力な抗生剤を使う、ことには賛成できません。中耳炎を放っておくと、耳の後ろの乳突蜂巣や頭蓋内にまで感染が波及して、命に関わるようなこともあります。が、その前に、鼓膜切開などで炎症が中耳より奥に波及しないよう食い止めることができるのです。鼓膜に穴があくと、耳漏(膿:白血球に食べられた、細菌の死骸)がたくさん出てきますが、耳漏が出ている限りはたいていはおおごとにはなりません。鼓膜切開については、項をあらためて、また、いろいろと説明をしなければなりませんね。初めての中耳炎で、いきなり「鼓膜切開しましょう」と医師にいわれて、パニクってしまったかたもいらっしゃるのではないでしょうか?

 ともかく、「みみ、はな、のど」はからだの入り口なので、いつも「全身」への影響を考えながら、治療方針をたてなければと私は考えています。耳鼻咽喉科は「耳鼻咽喉」だけをみるのではなく、「耳鼻咽喉」から、「病気」を考える科だととらえていきたいと思います。

なんだかまとまりがありませんが、明日からさない耳鼻科クリニックはお盆休みにはいります。再開は17日金曜日です。私は久しぶりに大好きなサッカーを観戦する予定です。

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